医療ケアがメインの介護施設
介護療養型医療施設とは、長期的な療養を必要としている高齢者が介護と医療双方の側面からケアを受けることができる施設のことです。介護医療院との違いを理解するために、まず介護療養型医療施設についての概要を把握しておきましょう。
介護療養型医療施設の特徴
介護療養型医療施設は高齢者向けの医療施設です。この施設では、がんや心臓疾患などの治療が落ち着いた高齢者が、病院や診療所などで介護サービスを受けながら生活します。介護療養型医療施設で生活できるのは、長期療養が必要な高齢者です。医師と看護師の数も十分確保されている医療施設ということで、病気の高齢者が生活する施設としては最も安心して暮らせる場所といえるでしょう。療養が必要な高齢者や要介護度の高い高齢者の入居施設なので、施設内のイベントやレクリエーションなどはほとんどありません。
介護療養型医療施設のメリットは、医師や看護師が常勤していることです。入居時の費用は一切かからず月額費用のみで入居できるのも魅力です。看取りやターミナルケアにも対応しています。
デメリットは、療養が必要な状態の高齢者が入所のために長期間待機するなど、入所の難易度が極めて高いことです。入所できても相部屋になることがほとんどでレクリエーションも充実しておらず、基本的には入院生活のような日々です。
医療と介護のケアは充実している
介護療養型医療施設での生活は、食事や入浴、排泄の介助に加え、たんの吸引や胃ろう、服薬管理などの医療ケアを受けることができるものです。医師の数は法令で決められている以上の数で、介護職員と看護職員の数は6人の入所者に対して1人の割合です。この他にも薬剤師や栄養士、理学療法士などが常駐し、入所者が安心して療養生活が送れる環境を作っています。ただし、掃除や洗濯、買い物代行、送迎、レクリエーションに関する生活支援サービスについてはあまり期待できません。個室を用意している施設もありますが、他の入所者との隔離が必要と判断される入所者が優先的に利用することが多く、トイレや浴室などの生活設備は共有です。キッチンやリビングはなく、共用の談話スペース等を利用します。
介護療養型医療施設の何が問題だったのか
介護療養型医療施設の問題点は、介護と医療双方のケアを必要とする人が入所できず、医療ケアを必要としない人が多く入所していたことです。厚生労働省が老人保健施設への移行を推進しようとしたものの、受け入れ先の問題等でうまく話が進まず、入所待ちの人で溢れてしまうような状況は変わりませんでした。介護療養型医療施設を設置した当初の理念が浸透しなかったことで、この制度を廃止するという流れになりました。
介護医療院での仕事に興味のある人へ
介護医療院で求められる人材は?
介護医療院では、介護や医療のさまざまな分野で働く人の割合が決められています。介護職の場合、入所者1人に対してI型なら5人、II型なら6人です。介護医療院に向いているのは、観察力や協調性があり、職場の仲間とのコミュニケーションが円滑に取れる人です。また、看取りについての知識を取り入れておくことも大切です。看取りにおいて大切なのは、終末期にある入所者の尊厳を第一に考えて介護に取り組むことです。
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